接待、まだまだ未熟な僕はこの意義が全く分からない。お酒を飲むことは生来大好きだけれど、気を最大限に遣いながら飲む位ならむしろ飲まない方がましだ。クライアントが喜でんいるのかどうかも疑わしい。
この日も苦痛の3時間を過ごした。きっと料理は美味しかったのだろう。以下の通りのフルコース。
「涼景の夕べ」
前菜 瑠璃豆腐 焼鴨ロース、岩茸旨煮、川海老
酒肴 変わり鱧ざく梅肉醤油
吸物 貝柱真丈、糂汰擂り流し、蓴菜、水前寺のり
造り まぐろとろ、皮剥ぎ、相ナメ、サンマ
煮物 夏野菜重ね蒸し 百合根、蟹、銀杏、雲丹、木くらげ、大黒湿地
焼もの すずき朴葉味噌焼き 袱紗葱、湿地、松の実、万願寺
強肴 下関河豚共焼き
冷菜 紅鮭大葉紫蘇挟み
食事 蛸めし みそ汁 香の物
デザート 抹茶ムース 桃コンポート
何とも言えない上滑りな会話で味も台無しだ。僕はひたすら耐え忍び、はにかみながら、時が過ぎるのを待った。
クライアントを見送り、上司と別れた後は完全に疲労困憊。残業よりも遥かに疲れる。この接待でクライアントが僕たちに対して親密感を少しでも覚えれくたよう今はただ祈ろう。
コメント